会社が倒産したときの失業手当は?よくわかる受給日数・金額・手続き方法

大手企業の倒産が珍しくはない現代、「万が一、今勤務している会社が倒産してしまったらどうしよう」と考えている人は決して少なくないでしょう。
もしもその「万が一」が起こってしまった場合、少しでも迅速かつ適切な手続きを行い、失業手当をもらうことで、生活資金を確保する必要があります。今回は失業手当の基礎知識から、会社が倒産してしまった場合の受給日数や金額、手続きの手順を説明します。
会社の倒産を考えている人だけではなく、転職や脱サラを考えている人もぜひ参考にしてみてください。

失業手当とはどんなもの?手続きの方法も気になる!

雇用保険(=失業保険)に加入している企業に勤めていた場合、その企業を退職する際には原則として、失業手当を受けられます。雇用保険は毎月給与から天引きされているものですが、退職した際にようやく失業手当でメリットを感じられるのです。
失業手当を受け取ることで、当面の生活資金を確保でき、再就職活動も心に余裕を持って取り組むことができるでしょう。

しかし、受給できる金額や受給開始期間、日数は退職の理由によって変わってきます。どのように違うのか見ていきましょう。

失業手当の分類方法は?

失業手当を受給するとき、受給者は公共職業安定所(ハローワーク)によって退職理由別に分類されます。これにより受給時期や金額が変わってくるのです。

  • 自己都合退職者
  • 会社都合退職者
  • その他の退職者

自己都合退職者とは、その名の通り自分自身の都合で自ら退職を名乗り出た人のことをいいます。その中でも転職や起業などを理由にした退職者は「正当な理由なし」、病気や配偶者の転勤、介護などを理由に退職する人は「正当な理由あり」として分類されるようです。

会社が倒産するために退職する人は会社都合退職者に該当し、失業手当を受ける際には「特定受給資格者」と呼ばれることもあります。倒産以外にも懲戒解雇以外の解雇、退職推奨、労働条件の相違による離職、有期契約の打ち切りなどによる退職も会社都合退職者に該当します。

定年退職や、有期雇用契約の満了など自分でも会社でもない都合により退職する人は「その他の退職者」です。

それぞれの受給条件は?失業手当の開始時期は?

自己都合退職者、会社都合退職者、その他の退職者となる受給条件と、失業手当の受給開始時期をまとめてみました。

 

受給者となる条件 受給開始時期
自己都合退職者 離職日以前の2年間のうち、
1年以上の被保険者期間があること
7日間の待機期間
+3カ月の給与制限期間後
会社都合退職者 離職日以前の1年間のうち、
半年以上の被保険者期間があること
7日間の待機期間後
その他の退職者 離職日以前の2年間のうち、
1年以上の被保険者期間があること
7日間の待機期間後

 

3カ月もの待機期間がある自己都合退職者とは異なり、会社都合退職者はハローワークに離職票提出と求職申し込みを行い、その日から7日間待てばすぐに受給できるので、少しは安心できそうですね。

気になる受給額はどれくらい?

「失業手当は果たしてどれくらいもらえるの?」という疑問は、受給者全員が強く意識している点といえるでしょう。また、少しでも長い受給期間を期待したいものですね。

失業保険の受給額は自己・会社・その他の都合、いずれであっても

失業手当の受給額=基本手当日額×所定給付日数

と決められています。簡単な計算式のように思えますが、基本手当日額と所定給付日数の決め方が少しだけ複雑です。それぞれの求め方を見ていきましょう。

基本手当日額

退職日前6カ月の賃金合計を180で割り、給付率を掛けた金額が、基本手当日額となります。
給付率は退職者の年齢と賃金日額に応じて45~80%の間で変動します。給付率の計算は複雑なので、ハローワークに問い合わせると手っ取り早いです。

所定給付日数

所定給付日数とは、失業手当を受給できる日数のことであり、こちらも年齢や退職理由によって異なってきます。表で確認していきましょう。

まず、自己都合退職者及びその他の都合退職者の場合は、所定給付日数がシンプルでわかりやすいです。

 

被保険者であった期間
全年齢共通 10年未満 10~20年未満 20年以上
90日 120日 150日

 

反対に、会社都合退職者や一部の正当な理由のある自己都合退職者は、年齢や被保険者期間によって所定給付日数が細かく分かれています。

 

被保険者であった期間
1年未満 1~5年未満 5~10年未満 10~20年未満 20年以上
30歳未満 90日 90日 120日 180日
30~35歳未満 90日 90→120日 180日 210日 240日
35~45歳未満 90日 90→120日 180日 240日 270日
45~60歳未満 90日 180日 240日 270日 330日
60~65歳未満 90日 150日 180日 210日 240日

 

会社都合退職の場合、被保険者期間が短くても自己都合退職者並みに受給期間が長いようです。勤務期間が長いと半年以上の期間失業手当を受給できるため、多少転職活動に時間がかかったとしても心に余裕が持てるでしょう。

年齢が高ければ高いほど受給金額が多いものですが、再就職はなかなか厳しい様子。所定の給付日数が終わるまでに再就職できた人の割合は、半数程度であり、特に30~45歳の層は苦労しているようです。
この現状を踏まえ、2017年4月1日より被保険者期間が1~5年未満で倒産・解雇などにより職を失った30~45歳の受給期間は90日から120日に延長されています。

具体的な受給金額を計算してみました。

例1:7年間勤務(被保険者期間7年)し、倒産を理由に退職した29歳のAさん
退職前6カ月の賃金は25・25・25・26・27・28万円

Aさんの失業手当の総受給額は
5,587円(基本手当日額)×120日(所定給付日数)で670,440円です。

 

例2:18年勤務(被保険者期間18年)し、倒産を理由に退職した40歳のBさん
退職前6カ月の賃金は35・37・36・38・35・34万円

Bさんの失業手当の総受給額は
6,069円(基本手当日額)×240日(所定給付日数)で1,456,560円です。

 

例3:25年勤務(被保険者期間25年)し、倒産を理由に退職した48歳のCさん
退職前6カ月の賃金は40・42・42・40・38・40万円

Cさんの失業手当の総受給額は
6,722円(基本手当日額)×330日(所定給付日数)で2,218,260円です。

失業手当の手続き手順

失業手当の概要やおおよその受給金額を把握したところで、ハローワークに行かなければ失業手当を受給することができません。ここでは受給手順を紹介します。

1. 退職後の書類の準備

ハローワークには退職した企業から渡される複数の書類を持っていかなければ、失業手当が受けられません。下記の書類は必須なので、事前に確認しましょう。もし何らかの理由があって受け取れない場合、ハローワークに相談してください。

  • 離職証明書(離職票)…自分の退職理由が書かれています。
  • 雇用保険被保険者離職票(-1.2)

会社から渡される書類以外にも下記の書類が必要になるので、こちらも忘れずにハローワークに持参しましょう。

  • 個人番号確認書類(マイナンバーカード、通知カード、個人番号が書かれた住民票)
  • 運転免許証など官公署が発行した写真付きの身分証明書(マイナンバーカード可)
  • 写真2枚(縦3.0cm×横2.5㎝、正面上半身が写ったもの)
  • 印鑑
  • 退職者本人の預金通帳またはキャッシュカード

2. ハローワークで申し込み

必要書類がすべてそろったら、自分の住居を管轄するハローワークに行きましょう。ここではまず「求職の申し込み」を行い、「雇用保険被保険者離職票(-1.2)」を提出します。
ハローワークは提出された書類をもとに受給要件を満たしていることを確認し、受給資格の決定を下します。
受給資格が決定すると「雇用保険受給資格者のしおり」が渡され、説明会の日時が伝えられるので、必ず出席しましょう。

3.雇用保険受給者初回説明会に参加

ハローワークで雇用保険受給者向けに開催される説明会に出席しなければ、手当をもらうことはできません。
しおりと印鑑、筆記用具を持参して参加しましょう。雇用保険の受給に関する重要事項を伝えられます。その地域ならではの事項もあるので、聞き洩らさないようにしましょう。
説明会終了後に「雇用保険受給資格者証」と「失業認定申告書」を受け取り、第1回の失業認定日を確認しましょう。

4.失業認定を月に1度受ける

原則的に4週間に1度、失業状態であることの確認(失業認定)をハローワークで行います。指定された日にはハローワークに赴いて、求職活動の状況を記した「失業認定申告書」と「雇用保険受給資格者証」をそれぞれ提出しましょう。
失業認定を受け、失業手当を受給するためには、前回の認定日から次回の認定日までに2回以上(最初の認定対象期間中は1回)の求職活動の実績が必要です。実績をつくるためには、ハローワークの窓口で就職相談をしたり、求人に応募をかけたりしなければいけません。国家試験や検定受験も求職活動の範囲です。

5.失業手当の受給

失業認定を受けたら、通常5営業日以内に、指定した預金口座に基本手当が振り込まれます。原則、基本手当日額×1カ月の日数分の金額が支給されますが、この期間中、短時間でもアルバイトや家業の手伝いなど労働に携わった日は、支給されません。しかし、対象外になったからといって支給日数が減るわけではなく、翌月以降に繰り越せるので安心ですね。

失業手当以外もある!就職促進給付

雇用保険加入者に支給されるのは失業手当だけではありません。「就職促進給付」は、主に再就職が決まった人に支給されるので、最終後にも忘れずに申請しましょう。

再就職手当

基本手当の受給資格者が安定した職業に就けた場合、再就職手当が支給されます。受給するためには、基本手当の支給残日数が3分の1以上残っていて、一定の条件に該当しなければいけません。

支給額は、所定給付日数の支給残日数×給付率×基本手当日額で、給付率は50~70%程度です。また、基本手当日額は上限6,070円(60歳以上65歳未満は4,914円)に決められています。

就業手当

失業手当受給資格者が再就職手当の支給対象とならない雇用形態で就業した場合でも、就業手当を受けられます。就業手当を受けるためには、所定給付日数の3分の1以上かつ45日以上の支給残日数があり、一定の条件に当てはまることが必要です。

支給額は、就業日×30%×基本手当日額です。基本手当日額の上限は1,821円(60歳以上65歳未満は1,474円)と決まっています。

就業促進定着手当

再就職手当受給者で、再就職後6カ月以上雇用された人は就業促進定着手当が受けられるのかもしれません。受給するためには、再就職先で6カ月間支払われた賃金日額が、退職前の賃金日額を下回っている必要があります。

支給額の計算方法は、(退職前の賃金日額-再就職後6カ月の賃金日額)×再就職日以降賃金の支払い基礎日数)です。
給料が下がるのは決してうれしいことではありませんが、このような救済策があると思えば、少し前向きになれそうですね。

まとめ

会社の倒産は非常にショックが大きいものですが、くよくよしてばかりいても始まりません。まずはハローワークに入ってしかるべき手続きを取るようにしましょう。一般的な受給規定や手続き方法はどこの自治体でも変わりませんが、細かいルールはハローワークによっても異なるので、よくわからない人は一度ハローワークに相談してみてはいかがでしょうか。窓口の職員が対応してくれるはずです。